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鬼頭尚也医師ブログ
第4回:浸透力が違う!「微細エマルジョン化技術」と美肌を底上げする美容成分
こんにちは。
恵聖会クリニックのなおやです。
私たち美容皮膚科の専門的な知見を詰め込んだオリジナル化粧品「KEISEIライン」の秘密を紐解く連載企画。
第4回となる今回は、化粧水「KEISEI VCローション」の驚異の「浸透力」と、主役であるビタミンCを強力にバックアップする「サポート成分」の数々について深掘りしていきます!
前回の記事では、主成分である「VCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)」が、酵素分解を必要とせずに塗った瞬間から働き始める「即効性」と、72時間(丸3日間)にわたって肌の中で抗酸化効果を発揮し続ける「持続性」を持っているというお話をしました。
前回(第3回)はこちら
しかし、ここで一つの大きな疑問にぶつかります。
「どんなに優れた成分でも、肌の奥(角質層)まで届かなければ意味がないのでは?」
その通りです。
私たちの肌の最も外側にある角質層は、外部からの異物の侵入を防ぎ、内部の水分が蒸発するのを防ぐという非常に強力な「バリア機能」を持っています。
そのため、ただ水に溶かしただけの美容成分を肌の上に塗っても、その多くは弾かれてしまい、奥深くへと浸透していくことはありません。
クリニックでの治療効果をご自宅でも長持ちさせ、本気で肌を変えるためには、有効成分を確実に「届ける技術」が不可欠です。そこで私たちがVCローションに採用したのが、「微細エマルジョン化技術(ナノエマルジョン)」です。
今回は、この最先端の浸透技術のメカニズムと、美肌を底上げする「プラスアルファの美容成分」たちがどのように働くのかを、科学的な視点から解説していきます。
「届ける」ための科学:微細エマルジョン化技術とは?
化粧水や美容液を作る際、水分と油分という本来は混ざり合わないものを均一に混ぜ合わせる技術を「乳化(エマルジョン)」と呼びます。
一般的な化粧品の乳化粒子(液滴)は、直径が数百ナノメートルから数マイクロメートルと比較的大きいため、光を乱反射して乳白色(ミルキーな白色)に見えます。
しかし、この大きさでは、肌の緻密なバリアをすり抜けて深く浸透させるには限界があります。
そこでKEISEI VCローションでは、「微細エマルジョン化技術」を採用し、乳化粒子をナノサイズ(100ナノメートル以下〜200ナノメートル程度)という極小のスケールまで小さくしました。1ナノメートルは1ミリメートルの100万分の1という途方もない小ささです。
乳化粒子をナノサイズまで小さくすることには、肌への浸透において次のような画期的なメリットがあります。
1. 圧倒的な表面積の拡大と吸収率の向上
粒子が小さく分割されると、同じ体積であっても、肌の細胞と接する「表面積」が飛躍的に大きくなります。
これにより、微小な液滴の中に閉じ込められた親水性および親油性の有効成分が、角質層の隅々にまで効率よく運ばれ、高い吸収率と生体利用効率(バイオアベイラビリティ)を実現します。
2. ブラウン運動による自己拡散と安定性
ナノサイズの極小粒子になると、重力の影響よりも「ブラウン運動」と呼ばれる粒子自身の不規則な熱運動の影響を強く受けるようになります。
この活発なブラウン運動が、粒子同士の凝集(くっついて大きくなること)を防ぎ、長期間にわたって製剤を安定に保ちます。
さらに、この運動エネルギーが、肌の奥へと成分が自ら進んでいく「拡散フロー」を促進し、角質層のバリアを突破する力を高めてくれるのです。
3. 「吸い込まれる」極上のテクスチャー
粒子が極限まで小さくなると、光の散乱が減少し、製剤は白濁した状態から半透明、あるいは透明に近い状態へと変化します。そして何より、肌にのせた瞬間に「スッ」と消えてなくなるような、ベタつきのない非常に滑らかなテクスチャーが生まれます。
VCローションを手に取り、肌に馴染ませた時に感じる「まるで肌が飲み込んでいるかのような浸透感」は、単なる感覚ではなく、このナノレベルで計算された微細エマルジョン化技術によってもたらされた科学的な結果なのです。
主役を支える強力な布陣:美肌を底上げする5つの成分
③ メラニンブロックとバリア改善の万能ビタミン「ナイアシンアミド(ビタミンB3)」
シワ改善と美白の両方のアプローチで近年大ブームとなっている「ナイアシンアミド(ビタミンB3)」も惜しみなく配合しています。 メラノサイト(色素細胞)で作られたメラニン色素は、通常、表皮の細胞へと受け渡されることでシミとなって表面に現れます。ナイアシンアミドは、この「メラニンの受け渡し」のルートをブロックすることで、シミや色素沈着を防ぐ作用があります。 さらに、セラミドの合成を促して角質層のバリア機能を改善するとともに、真皮のコラーゲン産生を促進するため、シワやニキビ肌の改善にも高い効果を発揮する万能ビタミンです。
④ 組織を修復し潤いを保つ「パンテノール(ビタミンB5)」
「パンテノール(プロビタミンB5)」は、肌の中に浸透すると酸化代謝を受けてカルボキシル基が変化し、「パントテン酸」という形になります。 パントテン酸は、細胞の代謝に不可欠な「コエンザイムA(CoA)」の構成成分となります。細胞のエネルギー産生を助け、ダメージを受けた肉芽組織の形成や上皮化(傷の修復)を強力にサポートする優れた薬理効果を発揮します。さらに、肌の老化を早める過酸化脂質の生成を抑制し、肌の水分保持力を高めて、なめらかで健やかな肌へと導きます。
⑤ もう一つの安定型ビタミンC「リン酸アスコルビルアミノプロピル」
主役のVCエチルに加え、L-アスコルビン酸とリン酸-3-アミノプロパノールを結合させた水溶性のビタミンC誘導体も配合しています。この成分も非常に安定性が高く、線維芽細胞の増殖作用や、チロシナーゼ阻害によるメラニン生成抑制作用が確認されており、VCエチルの美白・抗酸化効果をさらに厚くサポートします。
毎日のスキンケアを癒やしの時間に
いくら科学的に優れた化粧品であっても、毎日使うのが億劫になるような香りや使い心地では、ホームケアとして失格です。
KEISEI VCローションは、効果や浸透力だけでなく「心地よさ」にも徹底的にこだわりました。ナノエマルジョンがもたらす極上の浸透感に加え、合成香料は一切使用せず、天然のベルガモットと柚子から抽出した精油を採用しています。 手のひらに出した瞬間、爽やかでみずみずしい柑橘系の香りが広がり、一日の始まりと終わりに、肌だけでなく心までリフレッシュさせてくれる癒やしのスキンケアタイムを提供します。
【結び】点ではなく「面」で肌を底上げする化粧水
いかがでしたでしょうか。
圧倒的な含有量と即効性・持続性を持つビタミンC誘導体「VCエチル」。 それを確実に肌の奥深くへと送り届ける「微細エマルジョン化技術」。 そして、グルタチオン、ペプチド、ナイアシンアミド、パンテノールという、それぞれが主役を張れるレベルの「強力なサポート成分」。
これらが一つに融合した「KEISEI VCローション」は、単なる「ビタミンC入りの水」ではありません。抗酸化、美白、コラーゲン産生、バリア改善、細胞修復という複数のメカニズムで、肌の土台を面として一気に底上げする、クリニック発ならではの「高機能ローション」なのです。
洗顔後のまっさらな肌に、この至高の一滴を浸透させることから、あなたの本当の肌質改善が始まります。
さて、化粧水で完璧な土台を作った後は、いよいよ「細胞の生まれ変わり」にダイレクトにアプローチするステップです。
次回(第5回)は、美容液「KEISEI レチノールセラム」にフォーカスします。エイジングケアの王様でありながら、「A反応(赤み・皮剥け)」という大きな弱点を持つレチノール。このジレンマを私たちがどのように克服したのか、その「3種のハイブリッド処方」の秘密に迫ります。どうぞお楽しみに!
【参考資料】 本記事は以下の資料に基づき作成しています。
今回はちょっと多過ぎですが、皮膚への浸透設計とはどのような概念がベースになっているのか、グルタチオン機能やペプチド機能とはどんなものなのかがよく理解できる論文たちなので興味があれば是非読んでみてください!!
KEISEIライン作成時資料
Musakhanian J, Osborne DW. Understanding Microemulsions and Nanoemulsions in (Trans)Dermal Delivery. AAPS PharmSciTech. 2025;26:31.
Yousef SA, et al. Mechanistic Evaluation of Enhanced Curcumin Delivery through Human Skin In Vitro from Optimised Nanoemulsion Formulations. Pharmaceutics. 2019;11:639.
Nastiti CMRR, et al. Topical Nano and Microemulsions for Skin Delivery. Pharmaceutics. 2017;9:37.
Stanescu C, et al. Glutathione in Skin Aging and Tissue Regeneration: A Systematic Review of Molecular Mechanisms, Redox Modulation, and Biomedical Implications. Molecules. 2026;31:981.
Sonthalia S, Daulatabad D, Sarkar R. Glutathione as a Skin Whitening Agent: Facts, Myths, Evidence and Controversies. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2016;82:262–272.
Nukaly HY, et al. Oral and Topical Peptides for Skin Aging: Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Front Med. 2026;13:1618306.
Schagen SK. Topical Peptide Treatments with Effective Anti-Aging Results. Cosmetics. 2017;4:16.
Pintea A, et al. Peptides: Emerging Candidates for the Prevention and Treatment of Skin Senescence: A Review. Biomolecules. 2025;15:88.
Souto EB, et al. Microemulsions and Nanoemulsions in Skin Drug Delivery. Bioengineering. 2022;9:158.
Veiga E, et al. Anti-aging Peptides for Advanced Skincare: Focus on Nanodelivery Systems. J Drug Deliv Sci Technol. 2023;89:105087.
極小のカプセル(微細エマルジョン)に乗って肌の奥へと届けられるのは、主役のVCエチルだけではありません。
VCエチルの効果をさらに高め、肌のあらゆる悩みに全方位からアプローチするために、厳選された「プラスアルファの美容成分」が隙なく配合されています。
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① 酵母由来の強力な抗酸化物質「グルタチオン」
最近、美容クリニックの「白玉点滴」などでも注目を集めている成分が「グルタチオン」です。グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸からなる「トリペプチド」であり、人間の体内(特に肝臓や筋肉)にもともと存在する強力な抗酸化物質です。
紫外線などのダメージを受けると、肌の中では活性酸素(ROS)が大量に発生し、それがシミの原因となるメラニンを作る酵素「チロシナーゼ」を活性化させます。
グルタチオンは、この有害な活性酸素を自らを犠牲にして排除(還元)するだけでなく、チロシナーゼの働きに必要な銅イオンをキレート(結合して奪う)することで、メラニンの過剰な生成を強力にストップさせます。
VCエチルという最強のビタミンCと、このグルタチオンがタッグを組むことで、肌の酸化(サビ)を防ぐ「ダブルの盾」となり、圧倒的な透明感を引き出します。 -
② 細胞を呼び覚ますメッセンジャー「オリゴペプチド-1」
アンチエイジングにおいて、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質は欠かせませんが、これらをそのまま肌に塗っても分子が大きすぎて浸透しません。そこで活躍するのが「ペプチド」です。
ペプチドはアミノ酸が数個つながった短い鎖であり、線維芽細胞に「コラーゲンを作れ」というシグナル(命令)を伝えるメッセンジャーとして働きます。
KEISEI VCローションに配合されている「オリゴペプチド-1」は、ニコチアナベンサミアナ(タバコ属の植物で、タンパク質発現のモデルとして用いられます)から産生された植物由来の非常に安全性の高い肌再生ペプチドです。
この成分が肌の奥に届くことで、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンの産生を促し、細胞の増殖を促進します。使い続けることで、シワを予防し、内側から押し返すようなハリと弾力を肌に取り戻す「肌再生」の役割を担います。