ドクター・スタッフブログ
鬼頭尚也医師ブログ
第2回:ビタミンC誘導体は「含有量」で選ぶ!VCエチルが選ばれた理由
こんにちは。
恵聖会クリニックのなおやです。
私たちのオリジナルスキンケア「KEISEIライン」の秘密を紐解く連載企画。
第1回のプロローグでは、なぜ私たち美容皮膚科のクリニックが、採算を度外視してまでオリジナル化粧品を作るに至ったのか、その熱い想いと開発の全体像をお伝えしました。
第1回のプロローグはこちら
第2回目となる今回は、スキンケアのファーストステップである化粧水
「KEISEI VCローション」の主役に抜擢された成分について、深く、そして熱く語りたいと思います!!!
VCローション 全成分
水、DPG、グリセリン、BG、ペンチレングリコール、ポリソルベート20、3-O-エチルアスコルビン酸、リン酸アスコルビルアミノプロピル、ナイアシンアミド、ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸Na、ポリクオタニウム-51、マルチトール、メチルグルセス-20、PEG-32、PPG-13デシルテトラデセス-24、クエン酸、クエン酸Na、ベルガモット果実油、ユズ果皮油、ピロ亜硫酸Na、フェノキシエタノール
皆さんは「ビタミンC」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「シミを防いでくれそう」「肌がワントーン明るくなりそう」「毛穴が引き締まりそう」……。
そのイメージはすべて大正解です!
美容医療の現場でも、抗酸化作用やコラーゲン産生促進、メラニン生成の抑制など、ビタミンCの恩恵を利用しない手はありません。
しかし、化粧品において「ビタミンCを肌に効かせる」というのは、実は非常に難易度の高いミッションなのです。
世の中には「ビタミンC配合」と書かれたスキンケアがあふれていますが、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
結論から言いましょう。
ビタミンC誘導体は、名前やイメージではなく「含有量」で選ばなければ、本当の効果は期待できません!
私たちが数ある成分の中から、なぜ「VCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)」という成分を選び抜いたのか。
今回は、その驚くべき理由と、化粧品業界のちょっとした「裏側」にまで踏み込んで解説していきます。
素晴らしいけれど、あまりにも脆い「純粋なビタミンC」のジレンマ
ビタミンC(L-アスコルビン酸)が肌にもたらす効果は絶大です。
シミの原因となるメラニンの生成を抑えたり、肌のハリを保つコラーゲンの生成を助けたり、老化の原因となる活性酸素を無害化(抗酸化)したりと、まさに美肌の万能選手です。
しかし、化粧品の成分として見たとき、純粋なビタミンCには決定的な弱点が2つあります。
それは、
・「非常に不安定で壊れやすい」ということ
・「水に溶けやすく、皮脂に弾かれて肌(角質層)の奥まで浸透しにくい」ということです。
空気に触れたり、光を浴びたり、水に溶かしたりしただけで、純粋なビタミンCはすぐに酸化して茶色く変色し、その力を失ってしまいます。
これでは、ボトルに詰めて皆さんのご自宅にお届けし、毎日のスキンケアで肌に届けることは不可能です。
ビタミンCの弱点を克服する「ビタミンC誘導体」の誕生と、新たな問題
そこで科学者たちは考えました。
「ビタミンCの壊れやすい部分に、別の物質をくっつけて(化学修飾をして)ガードしてしまおう!」
こうして生み出されたのが「ビタミンC誘導体」です。
純粋なビタミンCに様々な化合物を結合させることで、酸化を防ぎ、安定して化粧品に配合できるようにしました。
さらに、肌への浸透力も高める工夫が施されています。肌の中に入った後、体内の酵素によってくっつけた物質が切り離され、本来のビタミンCとして働く、という仕組みです。
現在、多くの化粧品にはこの「ビタミンC誘導体」が配合されています。
ところが、ここで「化学修飾(別の物質をくっつけること)」の落とし穴が発生します。
ビタミンCを安定させるために、大きな物質をくっつければくっつけるほど、たしかに成分としては安定します。
しかし、全体(分子)の大きさに対する「ビタミンCそのものの割合(含有率)」は、どんどん減ってしまうのです。
例えるなら、大切な「宝石(ビタミンC)」を壊れないように運ぶために、何重にも分厚い「梱包材(化学修飾)」で包み込んでいるようなものです。
箱はとても大きくて立派になりますが、いざ開けてみると、中に入っている宝石はほんのわずか……という事態が起きてしまうのです。
衝撃の事実!ビタミンC誘導体は「含有量」にこんなにも差がある
実際に、代表的なビタミンC誘導体の「分子量(大きさ)」と、その中に含まれる「ビタミンC含有率」を見てみましょう。
| 分子量 | ビタミンC含有率 | |
|---|---|---|
| 純粋なビタミンC (アスコルビン酸) |
176 | 100% |
| アスコルビルグルコシド (AA-2G) |
338 | 約52% |
| パルミチン酸 アスコルビルリン酸3Na (APPS) |
560 | 約31% |
| テトラヘキシルデカン酸 アスコルビル (VC-IP) |
1,130 | 約16% |
いかがでしょうか。
例えば、美容液などでよく見かける「APPS(アプレシエ)」や、油溶性の「VC-IP」といった優秀な誘導体があります。
これらは浸透力が高いという素晴らしいメリットを持っていますが、化学構造が複雑で分子量が大きいため、成分全体に対するビタミンCの割合は、実は16%〜31%程度にとどまってしまうのです。
つまり、「高濃度ビタミンC誘導体配合!」と謳っていても、選んでいる成分の種類によっては、肌に届く実際のビタミンCの量は想像以上に少ない可能性があるということです。
私たちが「VCエチル」を選んだ最大の理由:圧倒的なビタミンC含有量
「せっかく化粧品を作るなら、患者様のお肌に、しっかりとした量のビタミンCを届けたい。でも、安定性も絶対に譲れない。」
そんな私たちが探し求め、ようやくたどり着いた理想の成分。
それが「VCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)」です。
VCエチルの最大の特徴は、ビタミンC(アスコルビン酸)の壊れやすい部分(3位のヒドロキシ基)に、「エチル基」という非常に小さくてシンプルな物質だけを結合(エーテル結合)させている点にあります。
水溶性でありながら、弱酸性(pH4.0〜6.0)の領域で非常に高い安定性を誇ります。
そして、何よりも注目すべきはその「含有量」です。
| 分子量 | ビタミンC含有率 | |
|---|---|---|
| VCエチル (3-O-エチルアスコルビン酸) |
204 | 約86% |
数あるビタミンC誘導体の中で、VCエチルは最も分子量が小さく、ビタミンC含有量が圧倒的に高い(86%)のです。
余計な梱包材を極限まで減らし、ほぼ純粋な宝石(ビタミンC)に近い状態で、安定して肌に届けることができる。これが、私たちがKEISEI VCローションの主成分にVCエチルを抜擢した最大の理由です。
VCエチルは「働き方」も規格外!即効性と持続性のダブル効果
含有量が多いだけではありません。
VCエチルのすごさは、肌の中に入ってからの「働き方」にもあります。
一般的なビタミンC誘導体は、肌に浸透した後、体内の「酵素」によって梱包材(化学修飾部分)が切り離される(酵素分解される)ことで、初めてビタミンCとして働き始めます。
しかしVCエチルは、生体内において酵素分解を必要とせず、肌に入ったその瞬間から「そのままの形」でビタミンCとしての効果を発揮します。
つまり、タイムラグのない「即効性」を持っているのです。
さらに驚くべきことに、他の多くのビタミンC誘導体が6〜8時間程度で変換・代謝されて体外に排出されてしまうのに対し、VCエチルは「72時間(3日間)」という長い時間をかけてじっくりと変換・代謝されることが分かっています。
夜のスキンケアでVCローションを使えば、寝ている間はもちろん、翌日の日中、さらにはその次の日まで、肌の中でビタミンCが働き続けてくれる「持続性」を併せ持っているのです。
即効性と持続性。
この両方を兼ね備えたビタミンC誘導体は、他にはなかなかありません。
ちなみにこのVCエチルは、チロシナーゼというシミを作る酵素の働きを阻害し、紫外線によるメラニンの重合化(黒くなること)を防ぐ効果が高く評価され、2004年には厚生労働省から「医薬部外品の美白有効成分」としても承認されています。
妥協のない浸透技術とサポート成分で、完璧な布陣を
いくらVCエチルが素晴らしい成分であっても、肌の奥(角質層)まで浸透しなければ意味がありません。
そこでKEISEI VCローションでは、「微細エマルジョン化技術」を採用しました。
本来は混ざり合わない水と油を混ぜ合わせる乳化技術を応用し、粒子をナノレベルまで極小化。
これにより、肌にのせた瞬間、まるで吸い込まれるようにスッと奥深くまで浸透していく、極上のテクスチャーを実現しました。
さらに、VCエチルが孤独に戦うことがないよう、強力なサポートメンバーも配合しています。
⚫︎ナイアシンアミド(ビタミンB3)
シミの原因となるメラニンの受け渡しを防ぎ、バリア機能を改善してシワやニキビ肌をケアします。
⚫︎パンテノール(ビタミンB5)
細胞代謝に重要な役割を果たし、肌の組織修復を助けます。
⚫︎グルタチオン
酵母由来の強力な抗酸化物質。アミノ酸からなるトリペプチドで、ビタミンCと共に肌のサビ(酸化)と戦います。
⚫︎オリゴペプチド-1
植物(タバコ属の植物モデル)由来のペプチドで、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促し、エイジングケアを強力に後押しします。
そして、毎日使うものだからこそ心地よさにもこだわり、ベルガモットと柚子による爽やかな柑橘系の香りで仕上げました。
【結び】化粧水は「成分の含有量と質」で選ぶ時代へ
今回の連載第2回では、「なぜビタミンC誘導体は含有量で選ぶべきなのか」、そして「なぜ私たちがVCエチルを選んだのか」をご説明しました。
化粧品のパッケージに書かれた「ビタミンC配合」という言葉の裏には、分子量と含有率という、科学的な事実が隠されています。
私たち恵聖会クリニックは、医療機関としてのプライドにかけ、イメージや流行り言葉ではなく、確かなエビデンス(証拠)と合理的な理由に基づいて成分を選び抜きました。
圧倒的なビタミンC含有率(86%)を誇り、酵素分解不要の「即効性」と、72時間働き続ける「持続性」を兼ね備えたVCエチル。
そのポテンシャルを微細エマルジョン化技術で最大限に引き出した「KEISEI VCローション」は、洗顔後の無防備な肌に透明感とハリを仕込む、頼もしいファーストステップです。
ぜひ、毎日のスキンケアで、本物のビタミンCの力を体感してみてください。
さて、化粧水で肌の土台を整え、強力な抗酸化の盾を作った後は、いよいよ「細胞の生まれ変わり」にアプローチするステップです。
次回(第3回)は、72時間働き続ける驚異のメカニズムについてさらに深く解説し、美容液(KEISEI レチノールセラム)へと続くストーリーをお届けします。
どうぞお楽しみに!
【参考資料】 本記事は以下の資料に基づき作成しています。
直接文面に繋がらない資料もあるかもですが、VCエチルとはどんなものなのかがよく理解できる論文たちなので興味があれば是非読んでみてください!!
- Macan AM, et al. Therapeutic Perspective of Vitamin C and Its Derivatives. Antioxidants. 2019;8:247.
- Santos KLB, et al. Essential Features for Antioxidant Capacity of Ascorbic Acid (Vitamin C). J Mol Model. 2022;28:1.
- Iliopoulos F, et al. 3-O-Ethyl L-Ascorbic Acid: Characterisation and Investigation of Single Solvent Systems for Delivery to the Skin. Int J Pharm X. 2019;1:100025.
- Iliopoulos F, et al. Topical Delivery of 3-O-Ethyl L-Ascorbic Acid from Complex Solvent Systems. Sci Pharm. 2020;88:19.
- Loza-Rodríguez N, et al. Lipid-Based Gels for Delivery of 3-O-Ethyl L-Ascorbic Acid in Topical Applications. Pharmaceutics. 2024;16:1187.
- Jarocka-Karpowicz I, et al. 3-O-Ethyl Ascorbic Acid and Cannabigerol in Modulating the Phospholipid Metabolism of Keratinocytes. Antioxidants. 2024;13:1285.